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校長コラム

令和6年度 校長コラム2

投稿日2024/9/2

【一学期終業式講話より抜粋】 

昨日は表彰式があって、全国大会出場をはじめ生徒の各種表彰がありました。

英語検定もまた準一級合格者が2人出て、この5年で20人を数えます。また、過去最高の結果の部活動もありました。1学期の皆さんの努力のたまものだと思います。

しかし、頑張ると結果が逆に悪くなるというエミールクーエの法則というのがあって、勉強や部活動であまり頑張らなかった人の方が逆に結果が良いことがしばしばあります。しかし、それは短いスパンのことであって、そこで諦めてしまうと本当に無駄になってしまう。今学期、努力の割にうまくゆかなかった人も、将来の結果を信じて努力を続けると、頑張らなかった人が追いつけない境地にたどり着きます。

 

 6月29日に小学生対象のイベントがありました。そこにゲストで、この3月に卒業したS君が来てくれていました。すっかり大学生になっている彼と久しぶりに話しました。彼は早稲田大学先進理工学部で学んでいますが、彼が大学で一番驚いたことは、クラスの皆の語彙力がすごいということ。皆適切な語彙を選んで会話しているということだ、と話してくれました。

本当にそうなんだろうと思います。囲碁や将棋の世界の有段者同士の対局のように、あるレベルでやり取りしている。きっとスムーズに多くのことが適切に伝わっているのだろうと想像します。

 

今年日本への外国人旅行者は年間3000万人を超えそうです。円が安い、治安が良い、食べ物がおいしい、見るべき史跡が多い、基本的に日本人は親切。だから来るのは当たり前ですね。それにつれて、テレビ番組でも実際の場面でも日本語を話す外国人が急に増えたように感じます。日本語は難しくないのでしょうか。

実は発音だけなら日本語は世界でも有数の簡単な言語だと思います。それぞれの言葉に母音が後ろについている。外国人がよくローマ字で書いて日本語を読んでも我々は大体わかりますよね。しかし、簡単なのは発音だけです。あとはかなり難しいと思います。

 

語彙の話をすると、新聞などを90%理解するには、英語は3000~4000語前後必要だが日本語だと1万語以上と言われています。何でそうなるのか。

それぞれ文化風習に由来する語彙数は当然多くなる傾向があります。例えば肉などに関した語彙は、英語の方が多い。逆に魚関係は、日本語が多い。しかし、それらは行ってこいで、日本語の語彙が増えるのは、例えばROOMなどは、場面によって日本語だと「部屋」とも、「余地」とも、「場所」とも訳せる。ROOM一語で、ある空間やスペースを想定する言語が英語なのに対し、日本語はそれぞれの場面の語彙が用意されている。HOTだって、「暑い」のか「辛い」のか。ホットなニュースなどといえば「最新の話題の」と言う意味にもなる。何か刺激的という概念があるのだろうが、英語の単語は一つでも日本語だとそれぞれ語彙が用意されている。当然増えるはずです。

よく会話に英語を交える人がいるが、こういう考え方をすれば、英語の方がそれぞれの語彙を考えなくて済むので伝わりやすい場面もあり、一概に否定できないのかもしれない。

語彙については、さらに、日本語には「形容動詞」という、変な品詞があって、「~だ」。で終わるので、「立派だ」とか。「厳格だ」とか。~いで終わる「形容詞」とは違う。この形容動詞は外来語も簡単にくっつく。例えばスマートやゴージャスなどの外国語にもついてどんどん増殖するから厄介だ。日本語の語彙は増える一方なのである。

 

さっきの話に戻りますが、日本語は文章読解や会話に必要な語彙が多い。だから、私たちはそういう国に住んで生活しているのだと自覚しなければなりません。